若いうちから経営を担える会社へ——「30代後半で独立」がキャリア指標のオフィスHanako | オフィスHanako株式会社
構想を語るとき、つい熱がこもる この会社を、3行で 1 新築の営業・設計士は全員女性の注文住宅会社。住まいのことを一気通貫で手がける 2 キャリア指標に「30代後半で独立」。社長を何人も置くホールディングス化の構想が動いている 3 話を聞いたのは、「参謀として社長を支える」と決めた経営戦略室・岡野哲也さん この記事を届けたい人 学生団体やビジネスコンテスト、小さな商売の経験があって、いつか自分の事業を持ちたいと思っている人 経営を学ぶなら東京のベンチャー、と考えている新潟の学生 「若手にも裁量があります」という採用文句を、あまり信じていない人 編集部よりこの会社、何が面白いのか
「若いうちから経営に関われます」という言葉は、採用ページでよく見かけます。ただ、この取材で聞いたのは、もう一歩踏み込んだ覚悟でした。「『将来独立します』という方が入ってこられる環境も、我々が作らなければいけない」。独立(企業内起業)を前提に入ってくる人も受け入れたい、と言うのです。
オフィスHanako株式会社は、新築注文住宅事業の営業と設計士が全員女性という、業界でも珍しい会社です。創業者の渡辺さゆりさんは、工務店の娘として生まれ育ちました。女性が働きにくかった時代の建設業界を知っているからこそ、「いかなる状況でも女性が働きやすい環境をつくる」と決めて創業し、17期目の今もそれを貫いています。従業員46名のうち75%が女性。家事動線や収納に本気でこだわる家を、経験のある社員たちが実体験をもとに設計・提案する、というモデルです。
その会社がいま、次のフェーズに向かっています。キャリア指標に「30代後半で独立」という項目を置き、各部門を会社化して社長を何人も配置する「ホールディングス化」を構想中。さらに2028年夏には、本社機能を備えた公園型の体感施設「Hanakoパーク(仮)」の開業を目指しています。
今回話を聞いたのは、経営戦略室の岡野哲也さん。医療系大学を中退後、放浪の旅で海外へ、その後、電子部品商社での営業経験を経て、40歳でオフィスHanakoに転職しました。どういった方が活躍する会社なのか、ぜひご覧ください。
岡野 哲也 おかの・てつや
オフィスHanako株式会社オフィスHanako株式会社 経営戦略室/経営戦略立案、人材採用・育成
新潟市出身、入社4年目。6年制の大学中退後、放浪の旅で海外へ。その後、電子部品商社で14年ほどプロダクトマネージャーとして営業を統括、企業内起業のような形で海外企業含め約30名のチームを率いた。40歳でオフィスHanakoに転職し、不動産部門で全国規模の不動産研究会の新人媒介獲得部門で1位を獲得したのち、現職。採用・育成・社内研修・経営戦略立案を担う。
「 営業も設計も、全員女性。それには理由があります 」
――まず、どんな事業をしている会社なのか教えてください。
「核となる事業は、新築の注文住宅です。ただ、家を建てて終わりではなくて、お子さんの成長から相続まで一生涯お付き合いする、というのが理念なので、中古住宅の売買などを担う不動産部門もありますし、リフォームも手がけています。最近は個人のお客様の戸建てだけでなく、木造3階建てのアパートや介護施設といった、少し大きな建物にも力を入れ始めています。住まいに関わることを、入り口から出口まで一気通貫でやっている会社です」
――その中で、いちばんの特徴はどこでしょうか。
「新築の営業と設計士が、全員女性であることです。代表はもともと工務店の生まれで、実家の工務店で働いていた頃、お客様から『女性が設計する家ってすごくいいよね』『もっとそういう人が出てくればいいのに』という声を聞いて創業したんです。ただ当時は、女性が建築業界でバリバリ働く環境なんてなかった。女性だからと現場監督や大工に言うことを聞いてもらえない、なめられる、ということもあったと聞きます。だから自分が創業したら、女性の設計士でもお客様の思いをスムーズに叶えられる環境をつくりたい、と。17期目の今も、採用ではそこは貫いています」
――女性が提案することは、商品面での強みにもなっているのでしょうか。
「私たちは『120%満足する家』を掲げていて、その中身は『家事がしやすい』『子育てが楽になる』といったことなんです。お客様は小さなお子さんのいる世代が多い。だったら、今まさに子育て中、子育てを終えた営業や設計士が『こうしておくとこの時期に楽だよ』と実体験で提案できる方がいい。商談が盛り上がって遅くまで話している……ということも結構あります。それくらい寄り添うのが売りです」
「 大学、海外へ放浪、電子部品、そして住宅。全部つながってなかった 」 ――岡野さんご自身は、どんな経歴を歩んでこられたのですか。
「私は新潟市の出身です。高校卒業後、大学では6年制の大学に進んだのですが、半ばその道に進んで良かったのかと迷ってしまって。決断までに8年かかりました。その後、1年くらい世界中を旅しました。道中、縁があって電子部品商社に入って、14年ほど営業ひと筋でしたね。自分でプロジェクトを組んで、仲間を募って、事業計画を立案し、ゼロからやる企業内起業みたいなスタイルで、部下も海外企業含めて30名くらいいました。主に中国や台湾の工場と交渉して製品を作って——実は、有名メーカーの扇風機やスティック掃除機の部品の一部は僕たちがやっていたんです。月の半分は出張で、かなりの激務でしたけど」
「家庭環境が変わるタイミングで、毎週出張という働き方を変えようと転職サイトに登録したら、たまたま社長からメールが届いたんです。面接で社長と会ったとき、その場で言われました。『数年後にHanakoパークというものを作りたい。協力してくれるか』と。まだふわっとした構想でしたけど、僕は新しいものを作るのが好きなので、すごく面白そうだと思った。それともうひとつ、当時40歳だったんです。年齢を考えると、おそらくこれが最後の転職になる。だったら中途半端には行けない、この構想が形になるまでやり切ろうと、腹を決めて入りました。入社のとき、社長には『骨を埋めます』と伝えています」
「はい。社内の不動産部門で、中古住宅の売買仲介です。家を売りたいお客様から物件をお預かりしてくる仕事で、これは宅建(不動産取引の国家資格)がなくても担当できるんです。業界のことは全く知らない状態からでしたが、社長からは『まず加入している全国研究会で新人賞を取れ』と言われて(笑)1年目は3位、2年目に1位を取りました。この仕事でいちばん勉強になったのは、Hanakoの研修で教わった『お客様に真実を話しましょう』ということです。『高く売れますよ』と言うのは簡単ですが、売れる値段は相場で決まっている。本当のことをお伝えして、お客様と一緒に納得のいく着地点を探していく。Hanakoに転職するまでは、B to Bの営業でしたから、お客様一人一人に向き合い、寄り添う事が一番大変で、一番鍛えられましたね」
――その後は、どんなステップを歩んできたのですか。
「不動産営業の次は、新築住宅の営業部門と不動産部門をまとめる統括を任されました。ちょうど会社が経営理念を固め直していた時期で、『決めるだけでは理念は浸透しない。研修が必要です』と手を挙げ、理念を社内に根づかせる役割を任されたんです。それが今の経営戦略室につながっています。不動産営業、統括、経営——4年間で、任される範囲が段階的に広がってきました」
「 『営業なんてできない』と言っていた人が、伸びる瞬間が好きなんです 」 ――現在は経営戦略室として、どんな仕事をされているのですか。
「採用、育成、社内研修、経営方針を一緒に考えること、組織体制、補助金まわり——会社のハブ役です。Hanakoは『長所伸展』という考え方があり、苦手の克服より長所を伸ばすことを大事にしていて、代表も一人ひとりの長所を活かすことにとても気を配ってくれます。だからこの役割は、自分にすごく合っていると感じています」
「前の会社でチームを率いていた頃から、『売れる営業はどういうマインドなのか』を自分なりに研究していました。いろんな畑から来た若い人が多かったので、技術よりもまずマインドが大事だったんです。『僕、営業なんてできないと思います』と言っていた人が、あるきっかけでぐっと伸びる。事務の方が向いていると思われていた人が、役割を変えたら花開く。そういう、人の向き不向きが目覚める瞬間に立ち会えるのが、僕はいちばんモチベーションが上がるんです。だから転職のときも、社内で結果を出したら、いずれ採用や育成、経営戦略にも関わりたいと社長に伝えていました。いまは新人の1年間の育成計画を各部門長とつくったり、階層別研修の整えや実施、理念や人事評価制度の浸透、人が育つ土台づくりを常にブラッシュアップして進めているところです」
採用・育成・研修から補助金まで、「会社のハブ役」を担う
「 30代後半で独立、がキャリア指標に入っている会社 」 ――「若いうちから経営を担える」とは、具体的にはどういうことでしょうか。
「Hanakoは、ホールディングス化を目指しているんです。各部門が事業部として会社になり、そこに社長を何人も置いていく。そのための準備として、キャリアのフェーズごとの指標をつくっていて、そこには『30代後半で独立』という指標も入れています。誰にでもチャンスがあって、やり方次第で若い人でも社長になれる環境を、会社として本気で用意しようとしている。だからこそ、そこを目指してくれる新卒をこれから採用していきたいんです」
――率直に伺いますが、「この会社で力をつけて、ゆくゆくは独立したい」という学生でも歓迎されますか。
「Hanakoでは、独立=会社を辞める事ではないんです。社内のホールディングス化を進める中で、コングロマリット的な考えで様々な分野を展開していくことができると良いと考えています。それくらい自発的な何かがある人を歓迎します。いきなり独立はハードルがやはり高いし、自分の見てきたフィールドでしか判断できなくなる。一度会社や組織に属して、求められる結果を出し、社会人としての経験、物の見方や関係性の作り方を学んでから独立した方が、僕は絶対にいいと思います。Hanakoはそれを『鍛える場所』になれる環境がいくつもあります」
「自分が何をしたいか。内発的な動機——なんでもいいから、夢があること。それが絶対に必要で、正直、持っている人はなかなかいません。だからこそ、夢を持って入ってきてくれる人は本当に歓迎したい。会社としても、研修や育成の仕組みを含めて、組織を整えている真っ最中です。整いきった会社に入りたい人より、『整える側』に回りたい人の方が、正直面白いと思いますよ」
「 経営者の隣で、構想を形にする側でいたい 」 ――2028年に開業を目指す「Hanakoパーク(仮)」の構想についても聞かせてください。
「私たちが目指しているのは、お客様に120%満足してもらって、家を建てたあとも一生涯伴走していくことです。それを突き詰めていくと、いまの店舗や営業の形だけでは応えきれない場面が出てくるんですよ。たとえば、仕事の都合で夜しか時間がとれないお客様。実際に住宅の性能を体感してから決めたいお客様。だったら、誰もがいつでも気軽に来られて、家づくりのすべてに触れられる場所をつくろう——それがHanakoパーク(仮)です。社屋という狭い意味ではなくて、道の駅のような、公園型の体感施設。住宅性能を体感できたり、VRで未来の家が見られたり、営業がいなくてもAIが提案してくれる『24時間営業の住宅会社』も検討しています。お客様にも、社員にも、関わる人たちと笑って人生を楽しむという理念を、目に見える形にするための場所なんです」
――岡野さんご自身は、この会社でどんな役割を担っていきたいと考えていますか。
「僕は、参謀として社長を支えていくと決めているんです。社長が『パークは絶対やる』と言ったとき、本気なんだなと伝わってきた。だったら、まずそれが形になるまで隣で一緒にやり切ろうと。僕の強みは、新しいものを作ること、会社の経営戦略を具現化すること、内発的思考で人を育てることだと思っています。最近は住宅の建具など、前職でのコネクションを活かしてオリジナル製品の開発にも関わっていて、自分たちで考えた製品をモデルハウスに入れたり、商品化も目指しています。経営者の構想を現実にする側、そして次の世代が育つ仕組みを作る側。そこに自分の力や経験を使いたいんです」
――最後に、これから入ってくる学生に伝えたいことはありますか。
「僕がやりたいのは、経営戦略の具現化ももちろんですが、入ってきた人たちが楽しく結果を出せる仕組みを作ることです。働きがいが無いと、人は自分の仕事に集中できないですから。『会社に来るのが楽しいです』と言われながら、ちゃんと結果が出る組織。それが少しずつ形になってきています。若いうちはまず色々な経験をする事、できる事がポイントだと思います。そこで視座をどこまで高められるかが、将来の自分のなりたい、ありたい姿に直結すると考えている為です。夢を持った人に会えるのを、楽しみにしています
編集部後記
経営を学ぶなら東京のベンチャー、という選択肢はもちろんあります。ただ、この取材で見えたのは別のルートでした。女性活躍で業界の先を行き、パーク構想とホールディングス化という次の計画が具体的にある会社で、参謀として社長を支えると決めている経験者の隣で働く。社長の席を若い人のために用意しようとしている会社は、新潟に限らずそう多くないと思います。
いつか自分の事業を持ちたい人は、一度岡野さんと話してみてください。独立(企業内起業)を前提にした入社をどこまで本気で歓迎しているのか、直接聞くのがいちばん早いはずです。LINKUの交流会で会えます。