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「完璧じゃなくてもいい」ゼロからイチを作る楽しさと、足並みを揃える私らしいリーダー像

「完璧じゃなくてもいい」ゼロからイチを作る楽しさと、足並みを揃える私らしいリーダー像

大岩 柚実

大岩 柚実

新潟大学創生学部3年 / フードバンクプロジェクト 代表

2025年3月1日

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#0から1を創る根性#チームの足並みを揃える対話力#共感を成果に#成長し成っていくリーダー#新しいことに恐れず挑戦

新潟大学創生学部3年の大岩柚実さん。学生の食を支援するフードバンクプロジェクトの代表として、地域の魅力と食を届ける活動に全力を注いできました。自分が思い描く「強いリーダー像」と現実のギャップに悩みながらも、周囲の声に救われ、共感を大切にする温かいチームを作り上げました。なぜ彼女は困難から逃げずに最後までやり遂げることができたのか。彼女の歩みと価値観に迫ります。

新潟大学創生学部3年。新潟県新潟市出身。現在は学生向けフードバンクプロジェクトの代表を務め、企業の余剰食品や規格外の食材などを学生に配る「フードシェア」イベントを企画・運営している。

雑草のこだわりに惹かれた幼少期と、少しずつ開いていった世界

新潟県新潟市で生まれ育ちました。弟と妹がいる長女です。性格はおとなしくて、本を読んだり絵を描いたりするのが好きな子どもでした。学校でも特定の友達と毎日遊ぶような、少し閉鎖的なところがあったと思います。

小さい頃から大好きだったのが、植物でした。身近にある公園などでよく観察していました。同じように見える植物でも、よく観察すると違う種類だったり、この公園のこういう条件のところにしか咲かないといった「こだわり」があったりして、その特性がすごく可愛いなと思っていたんです。花を咲かせたり、四季折々で姿を変えたりするのを見るのが本当に面白くて、その頃に覚えた植物の名前は今でも覚えています。

中学生になると、少しだけ世界が開けました。吹奏楽部に入部したのですが、それまで閉鎖的だった私には協調性が足りず、周りに迷惑をかけてしんどい思いをすることもありました。でも、合奏を通じてみんなと息を合わせる大切さを学び、チームで活動する楽しさを知ることができたんです。生徒会にも参加しました。友達が会長だったこともあってすごく居心地が良くて、先輩後輩関係なくみんなでワイワイと楽しく学年行事などに関わることができました。

みんなで話し合ってゼロから作る楽しさを知った高校の放送部

高校では、放送部に入りました。「放送部は大会で勝ったら東京に行ける部活だよ」と誘われたのがきっかけです。地元の同じ景色を見るのに飽きていたこともあって、新潟を出たいと思うようになっていました。

放送部では、ラジオドラマやテレビドキュメントなどの番組制作をしていました。週に3日ほど、放課後に1、2時間集まって話すような安心感のある部活でしたが、活動内容は本格的でした。

年に2回ほどの大会に向けて、「どういうドキュメントを作りたいか」から決めて、限られた時間の中で何を伝えるのか、起承転結をどう表現するかなど、みんなで話し合って一本の作品を作り上げていくんです。

一番印象に残っているのは、「特定失踪者(拉致の可能性を排除できない失踪者)問題」をテーマにしたテレビドキュメンタリーです。拉致被害者の蓮池薫さんが高校に講演にいらっしゃったのをきっかけに、自分たちならではのテーマとして取り組むことに決めました。特定失踪者のご家族の方にもお会いしてお話を聞き「話題にしづらい問題だけれど、私たちのように若い世代の一人一人が背景や状況を知っていくことが一つの価値になるんだ」ということを見い出すことができました。

他にも色々な作品を作り、取材の過程では、学外の人にたくさん話しを聞かせていただきました。社会人の方々が持つ熱い思いを知ったり、尊敬と同時に安心感を抱くようになりました。この経験のおかげで、大人や企業の方と話すことへの抵抗感がすっかりなくなりました。

不安から選んだ地元の大学と、成り行きで引き受けたプロジェクト代表

高校卒業後の進路については、明確な希望がありませんでした。県外に出たかったので東京や静岡の大学も志望校に設定していたのですが、最後の最後で「私は本当に県外でやっていけるのか」という不安が勝ってしまい、地元の新潟大学を受験することにしました。人文学部なども考えていましたが、「何をやっているのかよく分からない」創生学部の曖昧さが、逆に当時の自分に合っている気がしたんです。

大学入学当初は、サークルに入ってぼちぼち友達を作って、それなりに楽しく過ごせたらいいな、くらいの気持ちでした。1、2年生の時はピアノサークルに入り、授業に出てアルバイトをする普通の大学生活を送っていました。

転機が訪れたのは、3年生になる頃です。友人に、新しく立ち上げる学生向けのフードバンクプロジェクトのリーダーになってもらえないかと誘われたんです。テーマ自体に興味があったかといわれると、そうではありません。ただ、誘ってくれた友人や、同じ学部の中でも活動的なメンバーが関わっていたので、この人たちとだったら面白そうと思って、引き受けることにしました。

理想のリーダー像とのギャップに苦しんだ日々

フードバンクプロジェクトは、物価高騰の影響を受ける学生への支援、フードロス削減、そして地域経済への理解を深めることを目的として発足されました。誘われた当初はまだ理念しかなくて、ゼロからのスタートでした。

最初は、既存のフードバンク団体さんに支援をしていただきながら、食品を配るイベントを実施しました。人が集まるか不安もありましたが、定員の50人が集まり、学生からは「本当にありがたい」という声を多くもらいました。それから、企業や農家さんなどに協力を仰ぎながら、新大祭で廃棄予定のアイスを配ったり、クリスマスに抽選イベントを行ったりと、年間で6回ほどのイベントを企画・運営してきました。

しかし、活動を進める中で、私の中には次第にモヤモヤが募っていきました。最初の数回は参加枠が埋まり達成感があったのですが、何度も参加してくれる学生が増えるにつれてマンネリ化し、「食品をもらえてラッキー、終わり」となってしまっているのではないかと思うようになったんです。

企業さんや農家さんから魅力ある自社ブランド製品や農作物などを寄付していただいているのに、その背景や新潟の企業の良さが伝わらずに終わってしまうのが、すごく寂しくて悔しかった。

そしてもう一つ、私を深く苦しめていたのが「代表を務める」ということでした。私の中で、リーダーというのは「みんなをグイグイ引っ張っていく強いリーダー像」で、自分自身が全く当てはまらなかったんです。

足並みを揃えることを大事にしてきたつもりでしたが、関わる頻度や熱量が違うメンバーを同じ方向に向かせるのは難しかった。不揃いなチームを見ては、「私が引っ張る力がないからダメなんだ」と自己嫌悪に陥り、一人で思い悩んでいました。

「足並みを揃える」私らしいリーダーの形と、プロジェクトの進化

自分のリーダー像に自信をなくしていた時、救ってくれたのは後輩の言葉でした。引き継ぎのことを考えて、珍しくメンバーと1対1で話す機会を設けました。そこで不安な気持ちを抱えながら「この1年やってみて、やりにくいところがなかった?」と聞いてみたところ、「柚実さんの考える、足並みを揃えるチーム像がすごくいいなと思っていて」と言ってくれたんです。

その言葉を聞いて、「別に、みんなを強く引っ張るだけがリーダーじゃないんだ」と気づくことができました。私はメンバーに対して「どう思う?」「何でも思ったことを言っていいんだよ」と問いかけることを大切にしてきました。意見が正しいか間違っているかではなく、ただの感想でも口に出すことが大事で、そこから何かが変わるきっかけが生まれると信じていたからです。委縮して喋れない1年生にも積極的に声をかけ、失敗しても大丈夫な、安心できる温かいチームを作ろうとしてきたのは、間違っていなかったんだと思えました。

共感を大事にして、みんなに相談しながら一歩ずつ進んでいく。それが私にとって一番向いているリーダー像なのだと納得できた瞬間、「完璧じゃなくてもいいんだな」と心がすっと軽くなり、前を向けるようになりました。

プロジェクトの回数を重ねる中で、ずっと抱えていた「もらって終わり」という課題にも向き合うことができました。学生同士で経済状況を調査して本当に困窮している人を見極めるのは現実的に難しいからこそ、「もらってラッキー」で終わらせない仕組みが必要でした。

そこで、食品を配るだけでなく、企業の魅力や新潟の食材の背景を知ってもらう時間を取り入れることにしたんです。最近開催した食材の配布イベントで、提供してくれた会社の説明を入れたところ、アンケートで「こんな企業もあるんだ」「これ食べてみたかったんだよね」と参加者の満足度が非常に高く、企業にとっても学生にとってもWin-Winの形がようやく実現できました。

フードバンクから、企業と学生を繋ぐ「フードシェア」へと進化させることができたと、自分の中で納得することができたんです。自分がやりたかった仕組みの改善をやり切ることができたので、後輩にしっかりと引き継いでいきたいと思っています。

植物をもっと身近に。ゼロからイチを生み出す経験を胸に描く未来

今後は、植物に関することにもっと関わりたいと考えています。私は文系で大学に入学しましたが、創生学部では理系も含め専門を自由に選べます。そこで、小さい頃から大好きだった植物をもっと深く知りたいと思い、農学系の専門を選びました。

現在は生態学に近いゼミに所属し、野外調査に出かけながら植物の多様性などについて学んでいます。大学院への進学も視野に入れながら、就職の道も並行して検討しています。緑化空間デザインなど、人と植物を繋ぐような仕事に興味を持っています。

研究で得た知見を活かすことも魅力的ですが、根底にあるのは「植物をもっと身近にして、人々の生活をより良いものにしたい」という思いです。残りの大学生活では、植物や花に関する新しいプロジェクトも立ち上げたいと思っています。フラワーロスという植物が捨てられてしまう社会問題と紐づけながら、リース作りなどのワークショップを通じて、学生主体で体験系のイベントを企画・運営できたら面白いなと考えています。

これまで色々な経験をしてきましたが、私は「ゼロからイチを作り出す」ことが好きなんだと思います。そして、自分がやりたいことや、解決したいと思った課題に対して、自分が納得いくまでやり切る性格なんだと思います。

これからも、私らしいリーダーシップのあり方でチームと足並みを揃えながら、新しい価値を生み出していきたいと思っています。

Profile

大岩 柚実

Yumi Oiwa

大岩 柚実

新潟大学創生学部3年 / フードバンクプロジェクト 代表

新潟大学創生学部3年。新潟県新潟市出身。現在は学生向けフードバンクプロジェクトの代表を務め、企業の余剰食品や規格外の食材などを学生に配る「フードシェア」イベントを企画・運営している。

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